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本当にイノベーター人材は社内にいないのか?

皆さんの組織には、「イノベーター人材」と聞いてパッと連想する社員はいますか?

イノベーター人材の最も典型的な代表は、「起業家」ですね。同じルーティンを繰り返すような作業的仕事はつまらなく耐えられないと感じるような人たちです。彼らは、非常に好奇心旺盛で、常に常識となっているであろう「不」に向き合い、時には勇気を持って既存のレールから逸脱し、創造と破壊を繰り返す、そんな魅力ある方々です。

昨今、このイノベーションという言葉がメジャーになり、いかに組織内でイノベーティブな芽を育んでいくのがか命題になっている企業も多いのではないでしょうか。日本企業のイノベーションの低調が指摘されることも多いのですが、様々な理由が考えられるでしょうが、1番はやはり「人」でしょう。

もちろん企業もそんなことは百も承知で、モチベーション管理、人事評価、成果主義、タレントマネジメントなど・・・様々な策を打ってきたように思えます。しかし、それでも、私自身多くの企業と対峙する中で、顕著な効果が出ずに悩まれている経営者、人事の方がも多いように思います。

さて、ここで、イノベーションの根源である「人」にスポットライトを当てて、組織の問題に迫ってみようと思います。

組織活性化のプロジェクトで多くの場面で聞くのが、「弊社には、そんな我が社を導いていくイノベーター人材なんていないよ」という悲観的な声をよく耳にします。

しかし、私の経験則上、どんな組織にも一定数(およそ5%ほど)の割合で存在します。中小零細企業でも、最低でも数人は、組織の色んな壁にも真っ向から立ち向かい、本気で今の組織のをさらにより良いものしよう、と思っている人はいます。

では、なぜ存在しないように見えてしまうののか?

これは、存在しないのではなく、埋もれることが多いのです。隠れてしまうのですね。

能力があり、有能な人材であればあるほど、早期に出世コースに乗り、責任のある立場を任せられますが、こういった人材は組織に変革をもたらす、自由で個性的な人材でありたいと思う一方で、組織が期待する役割に自らを合わせ、組織と同一化した完璧なマネージャーを目指す(目指してしまう)という2つの相反する想いに押しつぶされることもしばしばあります。

そうした葛藤により、心がモヤモヤし、ついには「誰も本当の自分を知らない」と嘆く状態にまでなりかねません。組織内に孤独感を感じてしまう人も多いかもしれません。
当たり前ですが、将来次世代のリーダーに据えたいと思う人材は組織が望む文化や価値観に順応する人材です。「個性を大事に」という発信をしつつも、とって欲しい行動を空気感で期待視させてしまうために、個性は置きぼりにされ、マネージャーらしい行動、リーダーらしい行動を無意識のうちに優先させてしまうようです。

結果、「ここでの自分は本当の自分ではない」と思い、本当はもっとパフォーマンスを上げれることができるのにも関わらず、ほどほどということになりがちです。もしくはパフォーマンスが上がるものの、残念ながら疲弊もします。

さて、ここまで、イノベーション人材が存在しないように思えてしまう背景を考察してきましたが、ここからはイノベーション人材の特徴について述べていきたいと思います。
数多くの研究で、創造・変革・革新を生むには、「モチベーション」が大事らしいというのは実証されてきました。確かに大事なことには変わりがないと思いますが、このモチベーションをテンションと勘違いしてしまうことも少なくありません。
つまり、外からの影響や・その時の状況によって上下するもの(=テンション)と捉えてしまいがちです。

大事なのは、長期的に自らを駆動し続けられることができる、モチベーションの背後にある、「志」や「野心」であったり「願い」です。(これを弊社では「真本音」と呼んでいます)テンションはその時によって波のごとく上下するのに比べ、真本音は上下することのないものです。

何か新しいものを創造する場合や、既存の何かを破壊・変革しようとするには、自らの志やや野心や願いに基づいた創造エネルギーを最大限活用をする必要があります。
それくらいエネルギーが必要ということですね。

プロジェクトで成功するパターンは、「私は〜〜したい」起点からのものが多く、苦戦するのは「組織が〜〜だから」というパターンが多いのは皆さんもイメージいただけるのではないかと思います。かつての人気番組であった『プロジェクトX〜挑戦者たち〜』で紹介されていたプロジェクトはまさに好例ではないかと思います。

さて、ここから大事な話に踏み込みますが、真本音がない社員はいません。
だからこそ、誰にでもイノベーター人材になる可能性はあります。

しかし、真本音には度合いがあり、その度合いが高い人材が俗に言うイノベーター人材です。これは役職や経験問わず、どの部署にも存在する可能性がある、潜在的な人材です。
こうしたイノベーター人材を「逸脱人材」を呼んでいますが、自社内に埋もれてしまっている可能性がある逸脱人材を発掘・可視化し、いかに彼らにパフォーマンスを最大化していただくか、が組織の生産性を決定づけます。

そんな視点で、自社を観察してみることをお勧めします。